令和4年 年末のご挨拶
令和4年12月28日
60周年を超えて
アルジェリア独立60周年であり、日本とアルジェリアの外交関係開設60周年でもあった2022年の暮れに際して、ご挨拶を申し上げます。本年は、これまで長きにわたり二国間関係の増進に取組んでこられた先人たちの努力に思いを致すとともに、コロナ禍を経て、両国関係の再活性化に向けての「再起動の年」となりました。
年の前半は、アルジェリアにおいてもまだコロナ禍の影響が強く、天皇誕生日レセプションの開催も2年連続で見送ることとなりました。その後、少しずつ経済・社会の活動が回復していく中で、できる限りの感染防止対策をとりながら、3月には3年ぶりに第4回日本語スピーチコンテストを、5月には4年ぶりに第6回日アルジェリア・ビジネスクラブ会合を開催することができました。
年の半ばからは、コロナ禍の状況も落ち着きを見せ始め、徐々に平常への回帰が進んでいきました。6月末には、3年ぶりに自衛隊記念日のレセプションを開催したほか、琴演奏家をお招きして日・アルジェリア外交関係開設60周年記念コンサートを開催するなど文化行事も再開できました。10月には日本を名誉招待国とする第14回アルジェ国際マンガフェスティバル(FIBDA)が開催され、日本から4名の専門家の先生方に参加いただくとともに、邦楽演奏家お二人にFIBDAの会場で日本の伝統音楽を紹介いただき、アルジェリア伝統音楽家グループとのコラボレーション演奏も実現しました。同じ10月には、3年ぶりの開催となった第12回アルジェ国際交響楽フェスティバル に3名の日本人音楽家に参加頂きました。
二国間の法的文書についても今年は進展が見られました。6月の租税条約交渉 の結果、条約の内容について実質合意が得られました。この条約は、双方の国で活動する企業の租税関係の法的安定性を確保することを目的とするものであり、二国間の投資促進につながることが期待されます。従来から交渉が続いていた二国間経済合同委員会設立協定交渉に関しても、10月に実質合意に至りました。いずれも二国間に新たな法的枠組みを設定するものであり、法文が整い次第、早期の署名、発効を目指します。
開発協力の分野では、8月にチュニジアで開催されたTICAD8にアルジェリアからレジグ商業・輸出促進大臣に参加頂いたほか、今年はティアレット県とガルダイア県の2件の草の根無償資金協力の贈与契約に署名できました。1年に2件の草の根無償案件について署名に至ったのは当国で初めてのことです。また、今年は当国で初めて草の根文化無償資金協力も実現しました。11月の贈与契約署名式には、供与先であるアルジェリア合気道連盟の関係者がアルジェリア全土から約1300名も集まって、この資金協力を歓迎してくれました。
今年の秋の叙勲では、サリマ・スアクリ・ヅィリ氏とナセル・ルイバ氏 の2名のアルジェリア人について、それぞれ旭日小綬章と旭日双光章の授与が決まりました。サリマ・スアクリ・ヅィリ氏はアルジェリア女子柔道の先駆者であり、国際柔道連盟でも理事を務められるなど国際的にも活躍されており、アルジェリア人として初の女性、かつ最年少の受章者となります。ナセル・ルイバ氏はアルジェリア合気道連盟の会長であり、長年にわたり合気道や剣道などの日本の武道の普及に貢献された方です。
年末の12月には、60周年を締めくくる形で山田賢司外務副大臣が当地を訪問しました。当地への要人訪問は2018年の河野外務大臣(当時)以来4年ぶりのことであり、滞在中、ザグダール産業大臣、アルカブ・エネルギー・鉱業大臣、ベラーニ外務次官と会談を行ったほか、当地で活躍する日本企業の方々と当国のビジネス環境や日本企業の活動について意見交換も行いました。
アルジェリア国内においても、新たな投資法典の策定や経済多様化の動きが強化されるとともに、ロシアによるウクライナ侵略を受けて当国のエネルギー供給国としての重要性が再認識されつつあります。国際社会における存在感が増しつつある当国と我が国との関係を、60周年を超えて更に増進していくために、引き続き大使館一丸となって取り組んで参ります。
2023年が日本とアルジェリアにとって、また皆さまにとって良い年となることをお祈り申し上げます。
2022年12月28日
駐アルジェリア日本国特命全権大使
河野 章